三ツ池公園の植物 2月

 

平成29年度                                                            三ツ池公園の植物へ
2月
2月1日
2本のハクバイ ハクバイ 椿寒桜の冬芽 江戸桜の冬芽 緑の竹林

カツラ並木 トウカエデ冬芽 イヌビワ:果実と冬芽 モミジイチゴの冬芽

2月1日(水)

 花の広場の奥へ来ると、急に寒くなってきた。そうでなくても、ここは日陰である。ここにはハクバイが2本ある。様子を見ると、2本とも花が咲き出している。手前のハクバイの方が花付きがいいようだ。

 一番奥の一画にサクラの樹が何本かある。昨年ここのサクラに「江戸桜」の名札がつけられた。椿寒桜、修善寺寒桜は前からあったことを覚えているが、「江戸桜」の名札がつけられていたサクラは別の名前だった気がする。椿寒桜を見ると、蕾の先が開き始めているようだ。カンザクラの仲間だから一足早く咲くのかもしれない。昨年は、3月16日に開花を見ている。エドザクラは未だ冬芽が固く閉じている。

 次第に寒さを感じて来たので、帰りを急ぐことにした。左側に竹林が見える。冬景色の中であっても、孟宗竹の緑は映えている。竹林を過ぎると、裏側にイイギリの樹がある。この冬芽を見ようとしたが、樹が高く、冬芽は見ることが出来なかった。

 ここの斜面には何本かのカエデの樹があり、夏の緑、秋の紅葉と1つの景勝地になっている。ところが、冬場は、葉がなくなり、樹だけで殺風景な寂しい景色に変わっている。暗い道を進むと、左側にカツラの並木が現れてくる。ここも春、夏、秋の景色は素晴らしい。

 坂を上りきると、中の池が下に見えてくる。右側の一段高いところにはイチョウ、モミジバスズカケノキ、ユリノキなどの高木が聳えている。中でも、ユリノキは見上げるほど高い。この広場の端はトウカエデに変わってくる。この冬芽を見た時、4稜があったので、コナラの冬芽を思い出した。芽鱗の数が少ないだけで、よく似ている。

 何時もは下の道を通るので、この上の道を通るのは久し振りである。寒く、暗い道を進んで行った。時々ランニングしている人が通り過ぎていく。右を見ると、イヌビワの果実が見えた。葉もなく、果実が1個だけ付いている。面白そうだったので撮影した。

 薮沿いの斜面にカジイチゴに似たモミジイチゴがある。先程見たカジイチゴの枝には棘がないが、此方の枝には棘がある。枝に赤紫色の冬芽がついていたので写真に収めた。カジイチゴの冬芽は開き始めていたが、此方の冬芽はまだしっかり閉じている。

撮影:1月23日

記  平成29年度1月24日(火)

2月19日(日)
メタセコイアの冬芽 ケヤキの冬芽 ヤマグワ カンヒザクラ ホオノキの冬芽

シロヤブツバキ ヤブツバキ ヤマナラシの冬芽 シダレザクラ シダレザクラ

2月19日(日)

 サクラの便りが遠くから近づいている。カワヅザクラが咲き、カンヒザクラの冬芽が開き始めた。今日も暖かいので、三ツ池公園のカンヒザクラが気になって来た。また、ヤマナラシが冬芽というよりも蕾が大きくなっているので、此方の開花も気になっている。そこで、お昼近くになったが出かけることにした。

 南門を入ったところのメタセコイアの冬芽、斜面に広がるケヤキの冬芽を見たが、どちらもまだ小さく、ほとんど変化は認められなかった。何方も葉が出る前に花が咲くというので、見逃しやすい。特にメタセコイアは2~3月に花を咲かせるというので、注意しておかなくてはならない。

 カンヒザクラを目指して坂を上って行った。途中で、低木の株を見つけた。この辺にハコネウツギのような樹があったが、それとは違うようだ。冬芽の写真を撮ってみると、ヤマグワになりそうだ。今まで何回も此処を通っているが気が付かなかった。

 気になっていたカンヒザクラが目の前にある。見ると、もう花が咲いているといってもいい。樹は大きくないので、枝が手に届いた。接写写真を撮ると、鮮紅色の花が綺麗に映っている。1つの冬芽から2つの花芽が出ている。

 高いところにホオノキの冬芽がある。望遠写真を撮ると大きな冬芽に見える。どのくらいの大きさをしているのか知りたいが、計測できないのが残念だ。灰白色の芽鱗で固く閉じられている。

 ヤブツバキが暮れからちらほら咲いている。そろそろ花数が増えてもよさそうに思えるが、その兆しが見えてこない。何時最盛期を迎えるのだろうか。

 先日来たとき、ヤマナラシの冬芽が大分大きくなっていたので、「冬芽が開いてしまったのでは」と気になっていた。シダレザクラの位置から見ると、ヤマナラシの花や冬芽が見えない。「花が枯れてしまったのでは」と、一時がっかりした。ハクバイやシダレザクラを通り越して、ヤマナラシの樹のところへ直接来た。見ると、吃驚する必要はなかった。未だ冬芽のまま残っていた。冬芽は開き始め、中から毛に包まれたものが出始めている。どうもこれが花のようだ。

 一安心して、素通りしたハクバイの位置へ戻ってきた。ハクバイは峠を越したようで、花の多くは枯れてしまっていた。シダレザクラを見ると、ポツンといくつか咲き出していた。写真に撮れそうなものを探した。この写真からだと、「サクラ」の判定が難しい。サクラは冬芽から複数の蕾が出た枝のついた花をつける。それがこの写真では分からない。サクラの花弁は中央に割目があるが、ウメには割れ目がない。この花弁を見ると、割れ目が確認できる。また、萼筒を見ると、膨らみがあり、エドヒガンの特徴を備えている。

撮影:2月15日
  記  平成29年2月16日(木)
2月20日(月)
ミツマタ:小花が開いた コウバイ ハクバイ サンシュユ:この状態から中々変化しない ネコヤナギ

オオヤマザクラの冬芽 ヤエベニザクラの冬芽 エノキの冬芽 カツラの冬芽 シュゼンジカンザクラ

シュゼンジカンザクラ

2月20日(月)

 丘の上広場から坂を下りパークセンター前の広場に降りてきた。山沿いに水路があり、小さな沼や水田がある。その沼の横にミツマタがある。遠くから黄色く色づいているように見えたので、「漸く咲き出した」と思った。近づくと、ほのかな匂いがしてきた。頭状花の外側から咲き出したことが確認できる。ミツマタの小花は先が4つに割れた円筒型の花で、内側が黄色く、外側が白色の毛で覆われている。

 水田の向こう側の小山に紅白の梅がある。1月23日、コウバイが数輪の花を咲かせたが、ハクバイは蕾の状態だった。それから大分日にちが経過したので、コウバイは枯れてしまったのではないかと思っていた。しかし、見ると健在であった。紅白のウメが揃って咲いている。でも、よく見ると、コウバイの花弁にみずみずしさが無くなっている。

 コウバイのすぐ前の水田の脇にサンシュユの樹がある。大きな冬芽になり、それが割れ、中の黄色い花が見え始めてからなかなか顔を出して来ない。1度顔を出し始めた花はどうしたのだろうか。もう見えなくなっている。

 一番奥の沼地の脇にネコヤナギがある。冬芽は赤紫色の芽鱗に覆われて綺麗である。先日、1つの冬芽が芽鱗を脱ごうとしていた。今日見ると、その冬芽と思われるものは脱皮したように白色の綺麗な毛で覆われている。もう1つの冬芽が脱皮を始めているが、後の冬芽にはその気配が見られない。

 広場へ戻ると、「オオヤマザクラ」と記名されたサクラの樹があった。ここにこのサクラが元々あったのだろうか。記憶に残っていない。ウイキペディアによると、「別名、花色が淡紅色であることからベニヤマザクラ(紅山桜)、北海道に多く生育していることからエゾヤマザクラ(蝦夷山桜)ともいう」と説明されている。冬芽は濃い赤褐色で、芽鱗には毛がないようだ。

 直ぐ傍にヤエベニザクラの樹がある。この樹も記憶にない。昨年辺りから、新しい桜の樹が植えられ、記名がされてきたので、新しく植えられたのかもしれない。冬芽はソメイヨシノに似て毛深く、小さく、先が尖っている。

 エノキの樹があった。いつも見るエノキの樹は高く聳えている。この樹だとうまく冬芽が捉られるだろうと撮影した。しかし、エノキの冬芽は小さい。どこの冬芽を見ても詳しいことを知ることは難しい。この冬芽についても、三角形の形で、枝に張り付いているぐらいしか分からない。

 パークセンターの入り口にカツラの樹が1列に植えられている。ここの樹は大きくないので、冬芽を捉えやすい。カツラの冬芽は、枝に対生し鮮紅色である。カエデの冬芽に似ているので、よく見ないと間違えやすい。

 パークセンターの入り口に植えられた1本のシュゼンジカンザクラが花をつけている。このサクラは昨年植えられたと記憶している。シュゼンジカンザクラは、オオシマザクラとカンヒザクラの雑種と言われるので、カワヅザクラと同系統である。カワヅザクラと同じように早く咲くようだ。花もよく似ていて、違いは分からない。資料によると、2つの違いについて下記の記載があった。

カワヅザクラ シュゼンジカンザクラ
花弁 淡紅色 紅紫色
萼片に鋸歯がある 萼片に鋸歯はない
開花 1月中旬~3月上旬 3月中

萼片の鋸歯の有無でカワヅザクラとシュゼンジカンザクラの区別がつくのではないかと、2つの写真を比べてみたが、確認できなかった。

 資料:https://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/10/2/10_2_151/_pdf

   (核および葉緑体DNA多型に基づく静岡県伊豆地域のサクラの解析)

撮影:2月15日

記  平成29年2月17日(金)
2月21日(火)
ブンゴウメ ハクバイ サンシュユ ザクロの冬芽 ムラサキシキブの冬芽

開花したカンヒザクラ

2月21日(火)

 コリア庭園の門のところにブンゴウメが1本ある。先日冬芽が大分膨らんできていたので、若しかしたら開花しているのではと思った。見ると、赤い萼が開き、白色の花弁が出かかっている。もう1~2日で開花することが予想される。この花が開花した時、萼は反り返っていたので、アンズとの相違を見出せないでいる。今年調べようと思っていたが、まだ少し早かったようだ。

 コリア庭園へ入ると、2本のウメの樹が花をつけていた。コウバイは花数が少なく、峠を越えたようだ。ハクバイはまだ蕾があり、最盛期へ向かっている。ハクバイの花を見ると、中央のピンク色が目に付いた。今まで見ていたハクバイの多くは茶褐色をしていたので、「これは綺麗だなぁ」と思った。

 庭園の奥に1本のサンシュユの樹がある。先程水田のところにあるサンシュユの樹を見たが、花弁が頭を出し始めているところだった。ところがこちらは黄色い色が目立ち、開花へ向けて、一歩先へ進んでいるようだ。

 庭園に棘の生えている樹があった。これが何の樹か、記憶がなかったので調べると、ザクロであった。ザクロは里の広場にあるが、花の時期に見ているので、棘の存在には気が付いていなかった。棘は細く、長い。その棘の基を見ると、冬芽が見える。黄土色で円形に近い。先は短い棘になっているようだ。

 コリア庭園からムラサキシキブの冬芽を見に藪に入った。対生に伸びる長い枝の先に大きな頂芽がついている。この冬芽は裸芽で、小さな時と違い、葉脈のようなものが見えるようになってきた。

 アカメガシワの冬芽を見ようと里の広場へ入ると、中央付近に赤い花が目に付いた。遠くから見た時、ウメかと思えたが、近づくにつれ、赤みが濃いので、ウメではなさそうだと分かってきた。更に近づくと、カンヒザクラと分かった。花弁が萼から出て、完全に開花している。公園内には何ヶ所かにカンヒザクラがあるが、ここが一番早く開花したようだ。

撮影:2月15日

記  平成29年2月18日(土)

2月22日(水)
ツバキカンザクラ オカメザクラ カンザクラ オオカンザクラ シュゼンジカンザクラ

2月22日(水)

 花の広場の奥へ行くと何種類かのサクラがある。そこには先程咲き始めていたシュゼンジカンザクラがあるので、此方の方の様子を知ろうと向かった。ここへ来ると、山の陰になっているので、日陰で、薄暗い。ここのシュゼンジカンザクラは咲いていないようだ。その代り、ツバキカンザクラが咲き出していた。ウイキペディアによると、「ツバキカンザクラはカンヒザクラまたはカンザクラとシナミザクラの雑種」と記載されている。カンヒザクラやカンザクラは赤みのサクラ、シナミザクラは雄しべが長い。昨年開花した花を見直すと、このことが大体確認される。

 早く咲くサクラの中にオカメザクラがあり、公園の中には2か所に植えられている。1か所目のテニスコートの脇では咲いていなかったので、2か所目の上の池と中ノ池の間の堤へ向かった。ここは日当たりがいいので、咲いているかもしれないと期待していた。しかし、見ると、ここもまだ咲いていないようだった。それでもよく見直した。すると、冬芽が開き、赤い蕾が見え始めているものが見えた。赤くなっているものを探すと、けっこうある。

 帰り道に当たる南門の近くにカンザクラがあり、咲いている可能性がある。ここのサクラを見るときは、いつも最後になる。今日も最後で、日が陰ってしまっている。薄暗い中にピンクのサクラが咲いている。今日見てきたサクラの中で、ここのサクラが一番よく咲いている。カンザクラはカンヒザクラとオオシマザクラの雑種と言われている。すると、カンザクラはカワヅザクラやシュゼンジカンザクラに似た性質を持つことになりそうだ。

 すぐ横にオオカンザクラがあり、このサクラも咲き出している。赤みがあるサクラで、資料によると、「カンヒサクラとオオシマザクラの交配種」とのことのようだ。写真は、フラシュを焚いたせいか、白っぽくなってしまった。

 資料:http://blog.goo.ne.jp/teinengoseikatukyoto/e/0421b270b30c0a8c0d18808cdc246753

 最後に、南門の入り口近くにあるシュゼンジカンザクラを見た。このサクラはパークセンター前で咲いていた。ここでは冬芽が開きかけ、赤い蕾が見えているが、未だ開花に至っていなかった。しかし、この状況からすると、数日後には開花するような気がする。

撮影:2月15日

記  平成29年2月18日(土)